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音空間・音楽空間

「スピ−カ−について」

 

僕はスピ−カ−単体に対して非常に多くの愛着を持っている。

それは、使用目的、大小、形状にかかわらず、すべての種類に対してと

言っても良いだろう。

なぜなら、かつてスピ−カ−の製造業に勤務していたことがあり

スピ−カ−の構造、特性、音質等と毎日、取り組んでいた時期があったからだと思う。

かといって知ったかぶりをするつもりは毛頭ない。

スピ−カ−は

理論と構造が非常にシンプルではあるが、理論を超えた部分が数多く存在しております。

そして、そのわからない部分が、スピ−カ−の大きな特徴であり

スピ−カ−の最大の魅力ではないだろうか?

 

特にコ−ン紙斜面の材質、形状、エッジの種類と形状等によって

その音質と特性が大きく変わるということは周知の事だと思います。

コ−ン紙、エッジ、ダンパ−、チャンバ−、ボイスコイル、マグネット

それらの組み合わせによって無数に近い音質と特性が作り出せるのです。

オ−デイオ用からブザ−にいたるまで、ありとあらゆる種類のスピ−カ−を

作り出す事が出来るのです。

これほど理論や構造がシンプルでありながら、これほど

バラエテイ−に富んだ電気パ−ツは他にないのではないだろうか?

 

ハ−モニックデイスト−ション(調和歪み)の多いスピ−カ−、

ある周波数帯で急激に音圧が下がる、デイップ特性を持つスピ−カ−、

fo付近の特性が異常に盛り上がっている特性を持つスピ−カ−、

ある周波数でフレ−ムと共振を起こすようなスピ−カ−、

以上のようなスピ−カ−は、いろいろ問題が起こりやすく、やっかいなスピ−カ−です。しかし

それらのスピ−カ−に、僕はたまらない愛着を持っており今でもなつかしく思い出します。

やっかいではあるが、個性的すぎる音質、表現出来ない独特の音質にたまらない魅力を感じるのです。

ユ−ザ−から安定したニ−ズと好評を得ているスピ−カ−に、

やっかいなスピ−カ−が多かったのを今でも憶えています。

今ではなかなか見られなくなった

フィックスエッジでサブコ−ンのついたフルレンジスピ−カ−、

4インチと10インチの超、楕円のスピ−カ−、

コ−ン紙斜面の形が逆斜面でおわん型のウ−ハ−、

1度聴いてみたいと思いませんか?(1度聴いたら忘れられない音がしますよ)

 

種類を問わずどんなスピ−カ−でも、音楽を鳴らした場合

「あツこのへんの音はなかなかいいじゃないか」

という部分が必ずあるのです。たとえそれが100円ショップにあったスピ−カ−でも−−

良いものは良い、そうでないものは−−−ではなく

好きなものは好き

たとえそれが”調和歪み”の音であっても、好きなものは好き。

そういう感覚を大切にしたいのです。

 

ライブハウスの録音でまばらな拍手とグラスの音、人々のかすかなざわめき

その音で、ライブハウスにトリップさせてくれるようなスピ−カ−、

ミュ−ジシャンの心が伝わってくるスピ−カ−、

風の音、雨の音、街角の雑踏、雲の流れる音、そして

静寂までもが、自然のままに聞こえるスピ−カ−、

そんなスピ−カ−があったら−−

そんなスピ−カ−を求めているのです。

 

”愛すべきスピ−カ−”、”愛すべき音”それは

理論や技術を超越した、なにかが宿っている思うのです。なぜなら

その音を聴く人の心と感性を、切り離しては成り立たないからです。

そう”愛すべき音”をつくるのは、あなた自身なのです。

スピ−カ−はあくまでパ−ツですが

スピ−カ−に、パ−ツ以上のなにかを感じるのは僕だけでしょうか?