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音空間・音楽空間

「空気感」

 

誰でも、好きな食べ物があるように、好きな”音”というものを

持っているにではないだろうか?

たとえば、僕の場合 ”夏祭りの遠くから、かすかに聞こえる太鼓の音”

”初夏の海辺のさざなみ”−−−

それは幼い頃の思い出と重なるものが多いように思う。そして

それはその”音”だけでなく、そのときその場の

空気と一体化しているものではないだろうか。

 

現代では、シンセサイザ−で作りだした”音”、アンプでチユ−ニングされた”音”等

いろいろ”作られた音”が日常耳にする"音”のほとんどかもしれません。

けっしてそれらの”音”を否定するわけではありません。

なぜなら、それらの”音”は”自然の音”に近ずくように作ってあるか

あるいは聞いて”心地良い音”に作っているからです。(そうでない場合もありますが−−)

 

Jazzの野外ライブを聞きに行った時、メロデイ−、リズム、ハ−モニ−の音楽と言われる

”音”が、ミュ−ジシャンの心が、そして表現出来ないその場のふんいきが、空気と共に

せまってきて通過してゆくのを感じ、後になってあの空気はいったい、どこに行ったんだろうと

思ったことがありました。

あるミュ−ジシャンが”The Music is gone to the air”と言ったのを思い出し

本来、”音”は一期一会だと考えるようになりました。しかし

2度と”その音”と出会う事はできないが、心の中には必ず残るものではないか。

 

数学の世界で”積分定数は自然の断片”かもしれないし、そのとうりだとも思う。

同じように、空気と音、音と空気は、目にはみえない五感で瞬時にわかりやすく感じられる

自然の断片ではないだろうか

 

現代社会に生きる我々にとって、忘れがちになっているものの1つに

空気と一体化した”思い出の音”があるように思います。

森林浴やバ−ドウオッチングと同じように街を歩いたり、山や海に行ったときに

注意して耳を傾ければ、忘れていた”好きな音”に再会できるかもしれません。