5月5日のくの字
 <Sabject:立ち方、歩き方。>
 

 芝居のトレーニングを始めたばかりの頃、自分がいかに身体の使い方を知らないか(又は無自覚に身体を動かしていたか)を思い知らされた。難しい動きやアクロバットをさせられた訳ではなくって、「普通に立つ」とか「普通に歩く」が出来なかったのだ。

 「普通に」というのは「身体に無理なく」「無駄な緊張をせずに」と言う事なのだけれど、それまで自己流の動き方をしていたので、「普通」がわからなかったのだ。

 成長の過程で、立ち方や歩き方を習った人っているんだろうか? 思い返してみても私には思い当たる経験はないなぁ。小学校に入ると「気をつけ、休め」や「行進の仕方」「位置に付いて、ヨーイ、ドン」なんかは教えられたけど、それは妙に突っ張った歩き方だったり、緊張を強いる姿勢だったりで、本当の意味での歩き方や立ち方とは程遠い物だったと思う。

 体育の時間でも、運動のルールは教えてくれたけれど、どのように身体を使えばその運動が上手に出来るかは教えてもらわなかったと思う。だから運動神経のいい子(身体の使い方を本能的に知っている子)は上手に出来て、運動神経の鈍い子(身体の使い方を知らない子)は中々上手に競技が出来ない。

 もう少し大きくなると、筋肉の強い子(という表現が適切かどうかは確信がないけれど)は色々なスポーツがこなせるようになる。でも多くの場合筋肉に無理をさせている(んじゃないかと思う)。筋肉が若くて柔軟なうちは無理をしても身体を傷める事は少ないんだろうけど、無理な筋肉の使い方が「癖」になっているから、年を重ねると無理が利かなくなってアチコチ痛い所が出て来る。

 町中で、道行く人を眺めていると、歩き方に「癖」のある人が多い。大抵は「そんな歩き方してたら腰(or膝)が痛くなるよ」という歩き方なのだ。立ち方や歩き方は生活の基本だよねぇ。だのに大抵の人は自己流の立ち方&歩き方で生活して、「腰が痛い」とか「膝が痛い」とかいって、病院や整骨院なんかに通っている。

 私のまわりにも「腰痛持ち」がたくさんいる。私も忙しかったり、不自然な姿勢を続けたりすると、腰が痛くなったり、背中が歪んだりする。でも、有難い事に、私は芝居のトレーニングをしてきたおかげで、ある程度の自己調整をする事ができるので、この年になっても腰痛に悩まされてはいない。

 一流の選手にはスポーツトレーナーとかいう人がいて、無理のない筋肉の使い方(鍛え方を含め)を教えてくれたり、筋肉のトリートメントをしてくれるって話だよ。

 一般ピーポーはそんな凄い運動はしないとは言え、生きて行く以上は筋肉を使わざるを得ないのだから、筋肉の使い方(少なくても立ち方と歩き方)は筋肉の柔軟なうち(小学生くらい?)にキチンと教えるべきなんじゃないかとおもうのですよ。そうすれば腰痛人口が減って医療費だって減るんじゃない?

 

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