[ぽ]-08
 <Sabject:いちのせき弁講座から(3)>
 

「丁寧」や「念入りに」という意味の方言に<まで>というのがある。『ずいぶんまでに結んだごど』とか『あの人のしごど(仕事)はまでだがら』という風に使う。

反対に「粗雑」だったり「乱暴」だったりする様子は<あじゃら>という。『あじゃらにあづがう(扱う)ど、壊れでしまうぞ』とか『あぶねぇな、あんたに(あんなに)あじゃらな運転して』という風に使う。

古語辞典に「真手」と言う単語が載っている。読みは「マテ」で、意味は両手、諸手となっている。例文には「真手で捧げ持つ」が挙げられていて、恭しい動作に使われたようだ。この「真」という字、現代では「真実、純粋、正しい」とう意味に使われる文字だけど、古くは「完全な」と言う意味を添える字だったらしい。片手でおざなりにするのではなく、両手を使って丁寧に動作をすると言う表現だと考えると、<まで>の語源はこのあたりにあるんじゃないかなぁと思う。

一方<あじゃら>は古語辞典にそのままの形(ひらがな)で載っている。けれども意味は「冗談・戯れ」となっているので、一関弁とは違っている。ここでちょっと考え込んじゃったんだけれど、物事に真面目に取り組まない様子を「あじゃら」と言っていたとすれば、「雑だ」という意味に転じて、そのうち「乱暴だ」に転じていったかも知れないと言う推論はあながち的外れではないような気がする。

う〜ん、何だか、今回の文章、私らしくないなぁ。妙に堅いぞ!(^◇^;) いつもはもっと<あじゃら>なのにねぇ。

マ、こんなふうに、いつも古語辞典と国語辞典と漢和辞典を見比べながら、方言講座の原稿書きをしているのですよ。『もしかして、これ?!』って言うのが見つかった時は、疲れなんか吹っ飛ぶくらい嬉しいのよねぇ。こうしてドンドン方言にはまってしまうのです(^^;)A


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