メアリの秘密


「さて、ここから北の山を抜けると、カザーブという村があるそうだぞ」

「あれ?金の冠はどうするんデスか?
まさか……………」

「なかなか察しがいいな、リンファ
当然無視だ」

「実にイブンらしいですね」

「スコット、イブンを止めなくていいの?」

「いや、期日がある依頼ではないのですし、当面はほっておいても大丈夫でしょう」

「いいのかなぁ………」

「で、それはそれでいいとして、なぜカザーブの村へ行くノを急ぐんデスか?」

「カザーブには、いい武器が売っているらしい」

「ほう、なるほど」

「で、手持ちもそこそこある今、
パーティの戦闘力の底上げをしようという訳だ」

「すごーい
イブンらしくない真面目な考えだぁ」

「本当にどうしたんですか?
そんなにまともな考え方は、イブンらしくないですよ」

「いやな、あとはこのふざけた武装を手放したいってのもあるんだ」


ちなみにこのときのメンバーの装備

イブン
鎖ガマ、鎖かたびら、皮の盾、皮の帽子

スコット
桧の棒、旅人の服、皮の帽子

メアリ
銅の剣、皮の鎧、皮の盾、皮の帽子

リンファ
稽古着

「俺がただの町民で、勇者とやらがこんな姿してたら
「お前ら真面目に世界を救う気あんの?」
って聞きたいね」

「あははははははは
言えてマスね」

「笑い事じゃないだろぉリンファ
おまえなんか素手だぞ
嬉しそうに素手で敵を撲殺する姿は、はっきり言って恐いぞ」

「(小声)……言えてますね」

「そうデスかぁ?」

「あとはスコット、お前はいっそ素手にしろよ
そんなモン持ってるのは、チャンバラしてる子供とかわらんぞ」

「でも、それじゃあ攻撃力が下がりますよ」

「お前はそうやって数字ばかり気にしやがる
勇者の一党なら、くだらん数字より威風って奴を気にしろよ」

「イブンは急に勇者の自覚が現れ出ましたね
なにか悪い物でも食べたのですか?」

「そりゃ行く先々で勇者勇者勇者勇者言われりゃ洗脳されるさ
「勇者様、私の子供を助けてください」
「勇者様、私の彼を救ってください」
「勇者様、俺の武器を取り戻してください」
「勇者様、私の好物の肉マンを買ってきてください」
……………俺は便利屋じゃねぇっつうの
しかも報酬は無いときたもんだ」

「でも、全部断ってるじゃない」

「そんな馬鹿な依頼をいちいち引き受けるほど、俺は暇じゃねぇよ」

「でも、イブンの言うことも一理ありマスよ
みんな他力本願すぎると思いマス」

「話が脱線してますよ
このまま愚痴っててもラチがあきませんから、さっさとカザーブを目刺しましょう」

「ああ、そうだな
俺は準備はOKだ、いつでも行けるぜ」

「あ、わたしお買い物してくる〜
リンファもいこっ」

「うん、そうデスね」



「なあ、スコット………」

「なんです?」

「お前、メアリが神に祈ってるとことか見た事ある?」

「そういえば全然無いですね」

「最初に会った時はそれらしいカッコしてたけど、今じゃ見るカゲもないよなぁ」

「言われてみればそうですね
回復系の魔法は、実は神の恩恵とは関わりがないのかも知れませんね」

「だよなぁ
本当に神の力が必要なら、転職したらその場で魔法が使えなくなるはずだしなぁ」

「ホイミスライムが神の恩恵を受けているとは思えませんしねぇ」

「ただいまデス〜」

「おまたせ〜 あれ?何話してたの?」

「メアリ、お前ってたしか僧侶だよなぁ」

「え、私が僧侶?
…………あっ! そういえばそうだった!」

「駄目だこりゃ」

「次行ってみましょう………」


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