
1.「通る風」
通る風・・・ 流れる音楽と風が やさしくからんで消えてゆく 私に・・・
首をかしげる 現実が小さくなって 私も 少しずつ少しずつ 透き通っていく・・・
部屋の隅 そっと差し込む光は なぐさめるように囁いて
今はそれだけでいい 今だけのメロディー 今が奏でるメロディー
2.「目覚め」
クリーム色のティーカップのライン指でなぞれば気付く ベランダに干したシャツと通り雨
カーテン開けて空を見上げ しばらくずっと佇んでいた
遠く 雲より遠く灰色の月
一つ一つこぼれ落ちて 束の間にただ時は流れ つまずいた足元に しまっていた夢の欠片
私の体中を駆け巡るように 光の粒子がいっせいに目を覚ます
ソファーに座り 壁の模様が少し揺らぎ幾重にも見えて 焦る 鏡のぞき込み胸なでおろす
バスタブの上湯気が踊り ほてる頬につゆひとしずく 醒める もやの向こうの景色をにらむ
近くにあるのに見落として 気に止めてもすぐ通り過ぎ 変わらないあの景色 一瞬よぎって振り返る
絶え間ない笑顔としかめっつら横顔 残さずしまいこんで一歩を踏み出す
頭の上で無邪気にはしゃぎだす天使 私も煽られて雲の上飛び立つ
これから歩き出してさえぎる風があれば 一度体当たりして足元見下ろす
どんな時でも どんなに小さな欠片でも もう離さないで その両手でつかんで
時は流れる・・・変わらない景色・・・もう離さない・・・ la la la・・・
3.「Usual My Way」
僕はただ 目を閉じて歩いていた
君はただその周りを泳いでいた
僕が見る空は いつも遠かった
君が見る僕はいつもうつむいた
次の電柱を通り過ぎたら きっとまた君は消えてしまうんだね
ゆっくりと流れている小さな風たちが 僕の黒を洗い流してくれる
いつも通りに 過去だけを眺めてた そして今も・・・
ただ何となく ふれてみた 君に
そして遠く もっと遠く -faraway…
4.「美しい傷跡」
ほどけた水の糸の片方を遠くに見つめて 立ちつくす今 胸の中に時が満ちていく
そっと歩み寄った淡い影は ほんの少しだけ悲しい瞳で消えてしまったけど
いつまでも消えることは無いだろう 一粒の乾いた涙の跡
追いかけていた 振り向くはずの無い小さな幻を 分かってる
ただ私の隙間に吹く風が少し冷たいだけ
塞がった傷をなでる優しい感触が 全身に行き渡る
来るべき時が満ちて そのままゆっくり ゆっくりと沈んでいく
流れ去っていくまだ色褪せない絶え間ない記憶
私を通り抜けて もっと遠く遠く どこまでも
そう これから築いていく私の軌跡にあなたの足跡は無いけど
限りなく黒に近い藍色の中で 鮮明に光放つ星に見たてて そっと微笑んでいる・・・
『ほどけた水の糸の片方は光の粒になり消えていった。もうそれでいいと思っている。
ただ、目を閉じていたい。』
5.「ダンス」
広い部屋の隙間に腰を据えて指で遊ぶ 今日も晴れ渡る青空
揺れる影が少しずつ覆っていく チッポケな存在なんて2秒で見えなくなる
僕はいつもその黒の中で優雅なダンスを振舞う
見えるものはほとんどニセモノだった 影の中で真実を見た気がした
いくら叫んでもダンスをしても外の世界にはとどかず
それをいいことにはしゃいでる僕は 笑顔でひたすらに踊る
日常は素晴らしい モノクロームでつづっていく記憶
色ずく未来 セピアに美化されてく過去そして今
嘘でもいい ゆとりが無い 色づいた花々を咲かせたい
知っていることまだ知らないこと 影に垣間見える真実
笑えるようで憂鬱のような妙な気分は空回る
生きている世界がある当然のような奇跡
出し惜しみ無く思想の欠片散りばめたい
ニセモノの中僕は生きる 咲きわたる花々に埋もれて
生活を支配する過去と未来 考えすぎはもうやめた
結局僕は『今』という名前のダンスを踊り続けよう
6.「約束」
ただ眺めてた 静かにその姿変えてく白銀の雲を
張り詰めたこの思いすらまだ 身をまかせてる
雨は私を責めるように ヒビ割れた心 染み込んでいく
今も相変わらず私は その痛みこらえたまま 遠い空見上げてる
矛盾と欲望を強い西日が照らし出す
気付いていた心 そっと受け入れた
とき放った淡い記憶 深い願い まだ見たことの無い場面に向かって
私の背中をまだ後押しする
なくしてもいい思い ただ忘れない
これからもずっと抱きしめているから あきれるほどに
長い森の中 手さぐりで暗い黒をかき分けて進む
何事も無く疲れ果て 立ち止まる うずくまる ため息すら空を切る
気付かなかった 見上げれば雲に隠れた月が
はじめから私を照らしてついて来てた かすかな光
差し伸べた 曖昧でいい弱くてもいい この両手でつかみたいから
もう二度と目をそらさない たとえこの足が歩みを止めたとしても
いつか未来誓った自分との約束は 今も内ポケットの
ずっとずっと奥底で 眠り続けている
理由も無く飛べる気がして立ち上がる 全身を覆っていたベール
今 脱ぎ捨てる
そう きっと分かってる うなずいてる 色褪せたあの日々に涙がにじむ
さぁ ゆっくり顔を上げて すり抜けてく今を全身で受け止めて 永久にとどく・・・
7.「愛を探して」
ゆっくりとこぼれ落ちるあたたかい涙は 私をつたって
静寂の彼方で穏やかにたたずむ 命の泉に注ぐ
理由など何一つ聞かされずに 人はこの広い箱庭に産み落とされました
すがるもの無くて 駆け出して 叫んで いつまでも 今も
目を閉じて震えながら耳塞ぎ 怯えている ざわめきの中で
迫り来る葛藤と不安定な現実 誰の目にも映りはしない ねぇ・・・
私と空をつなぐひとすじの あぁそれは偽りの無い愛
心が今 まばゆすぎる空に とどいてる
小さな星達の一つ一つをつなぐカオスの渦
その中心で 翼を広げることさえ許されませんでした
告げる慈悲さえも 避けながら歩いて 信じてた 今を
突風が吹き荒れる大地の上 逃げ場も無く 悲しみを忘れ
しっかりとしがみついて祈りをささげた 私自身の心に飛ばされぬように
ゆるぎない言葉は一つだけ この胸の深く深くに一つあればいい
確かに今 水晶の歌声が響いてる
凍りついた真実の心溶かしてくれた ジレンマの狭間 うずくまり顔を上げた
その先には ただ地平線が続いてる
一粒だけ 夢のしずく こぼして
そう 今からここは 私だけの箱庭になる
8.「人間」
なめらかな地盤に沈んでいく 空も土も海もあなたも
だから僕は沈黙を受け入れ 視界を断ち切る
血色に滲んだ全てが 一つになる 『マタタイテ・・・』
僕らが手をのばす場所はいつもなぜか あたたかくて
その心地よさに身を任せ 真空に漂う
広がる藍色の下で 乾いた空の下で・・・
もうどれくらい景色と一つになっているのか
体の中心から淡い温度が僕を包み込む
虚空とかすかな振動と あなたさえ居れば 満たされる
時間はいらない 全ての概念は一つになる 『ササヤイテ・・・』
僕の脳の中で確かに木霊するやさしく枯れてゆく あなたの声
ざわめきの中そっと両手ですくい上げた不透明な水に映し出された あなたの横顔は
それでも遠くを見ていた・・・
